金のアメマス釣れる川原で　銀の虹鱒釣る湖畔で

　もう　随分前のことなので　


おそらく時効であろうが


宿の名前は　あえて伏せておこう・・・



　道南方面　湯治場として有名な　

山の中の一軒宿で　日帰り入浴したある冬の日の出来事

　浴室の戸を開けると

なんと客は　僕一人だけ　

この広い浴場を　独り占め状態である



　三つある　浴槽からは　赤茶けた濁り湯が　絶えず溢れ続け


湯口からは　新鮮な温泉が　じゃんじゃんそそがれている


すばらしい　昔ながらの正しい温泉だ


　
　嬉しくなった　僕は歩を進め　浴槽に入ろうと１歩、２歩踏み出したところで


バランスを崩し・・・


頭から・・・

どっ　パッーーン　　

浮かれていた　僕は　「浴槽の深さは９０㎝あります」の注意書を見逃していたのだ


持っていた　フロ道具もメガネもすべて浴槽の中へ　


沈んでいった・・・・



　僕は　泳いだ


浴槽の中を必死で


だが　ここは強度の濁り湯


視界は１０ｃｍ程度しかない・・


手探り、足探りしながら　


タオル

シャンプー

メガネっと回収したが・・石鹸がみつからない　



それよりも　まずいことに


ドバドバ泳いだためか・・・温泉が心なし　泡だってきた


やばい　やばすぎる　・・・・・どうする～おれー！



　と　その時　二人の外人が浴室へ入ってきた・・・・


僕は　このチャンスを逃すわけには行かない！


　僕は　逃げた・・・・　

二人が　入浴マナーの悪いロシア人であることを願って・・・


　


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　・・・・　・・・・・